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Generalistという英語
 

Generalistという英語

                                                                                                               平田 周

 

 昨年、私は『求められる新世代のジェネラリスト』(静岡学術出版社)を出版した。この中で、「ジェネラリスト」という日本人にはおなじみの言葉が英語を母語にする人たちには通じないということを書いた。英和辞典にはあるが、English Dictionaryの見出し語にはないものがほとんどである(なくはないが、日本人が使うニューアンスとは違う)。実際にビジネス経験のあるアメリカ人、カナダ人3人の友人に尋ねたが、これまでこの言葉を耳にしたことはないし、確かな意味をわからないという答えが返ってきた。だから英語であっても、英語はないといえると思った。

 一人の友人から、私が文中に「generalistは和製英語だといってもよい」と書いたことについて、次のような指摘を受けた。

「私が愛用しているThe New Oxford Dictionary of English にはエントリーがあり、a person competent in several different fields or activities  と定義されています。形容詞としても用いられ、able to carry out a range of activities, or adapt to
different situations: [a generalist doctor]
とあります。」

 

確かに、イギリスのOxford系の辞書にはgeneralistという言葉は見出し語として載っている。ただ、上記の指摘にもあるように、他種類の能力を持つ人という意味であれば、日本人が使う「ジェネラリスト」とは意味が異なる。ビジネスに携わるネイティブが聞いたことがないから意味がわからないというのは、英語とはいえないだろうと考えたのである。意味的に“和製英語”という意味では正しいが、誤解を与える表現であり、友人には指摘を感謝しておいた。

 

先日、contentの意味を確かめるため図書館に行き、最も権威のあるOxford English Dictionaryを調べた時に、generalistについても調べてみた。ここにある説明は完璧だった。

(a) generalist: One who generalizes (b) One who devotes himself to general studies (opposed to specialist) 」とある。そして、OEDの特長である歴史的出典例が示されている。そこには驚くべき情報があった。

 

いくつかあげられている出典例の中で最も古い文献は1611年のものだが、1894

Westm. Gaz. (Feb, 2) に、G. Allenという人が The man, as a man, is wider, greater, happier, freer, in proportion as he is as a generalist rather than a specialist.と書いているらしい。

196112月2日号のEconomistの文例は、パーフェクトである。The complacent belief that a well trained ‘generalist’ could turn his hand to anything.とある。このあたりから、specialist重視の傾向が強まったのだろうと推察される。同年、Gifted generalists like Aristotleと書かれた文例もある。1964年には、R. Wilkinsonという人が、Gentlemanly PowerThe backbencher was a generalist alsoと書いている。

この人は、In British bureaucracy, the generalist backgrounds of the top men have shown an interesting relation to professional procedureとも述べているのが注目される。1977年のPhysics Bull. 4月号に、Scheme for an initial two year generalist course for the majority of students backed up by specialist courses for the further studies of the few.とある。わが国の大学で広く採用されていた教養学部の思想である。

 

 これらの例から、かつては日本で理解されているジェネラリストという意味で使われていた時代があり、1960年代頃から、次第にスペシャリスト重視の時代へと移行し、ジェネラリストという言葉が姿を消していった歴史を想像することができる。

 私は、ジェネラリストが多能ではなく、そこからさまざまな能力が発揮される源泉となるような根源的能力という意味を与えたいと思っている。この考えについて、もう少し詳しく披露したいと考える。

 

 それにしても言葉というのは時代とともに意味が変わったり、消滅したり、遠く離れたところで生き続けたりする不思議なものであることを改めて痛感した。知っているつもりの言葉もきちんと調べてみなければならない。何かを語る時、直感も必要だが、やはり無知であることは怖い。

Generalistという英語

                                                  平田 周

 

 昨年、私は『求められる新世代のジェネラリスト』(静岡学術出版社)を出版した。この中で、「ジェネラリスト」という日本人にはおなじみの言葉が英語を母語にする人たちには通じないということを書いた。英和辞典にはあるが、English Dictionaryの見出し語にはないものがほとんどである(なくはないが、日本人が使うニューアンスとは違う)。実際にビジネス経験のあるアメリカ人、カナダ人3人の友人に尋ねたが、これまでこの言葉を耳にしたことはないし、確かな意味をわからないという答えが返ってきた。だから英語であっても、英語はないといえると思った。

 一人の友人から、私が文中に「generalistは和製英語だといってもよい」と書いたことについて、次のような指摘を受けた。

「私が愛用しているThe New Oxford Dictionary of English にはエントリーがあり、a person competent in several different fields or activities  と定義されています。形容詞としても用いられ、able to carry out a range of activities, or adapt to
different situations: [a generalist doctor]
とあります。」

 

確かに、イギリスのOxford系の辞書にはgeneralistという言葉は見出し語として載っている。ただ、上記の指摘にもあるように、他種類の能力を持つ人という意味であれば、日本人が使う「ジェネラリスト」とは意味が異なる。ビジネスに携わるネイティブが聞いたことがないから意味がわからないというのは、英語とはいえないだろうと考えたのである。意味的に“和製英語”という意味では正しいが、誤解を与える表現であり、友人には指摘を感謝しておいた。

 

先日、contentの意味を確かめるため図書館に行き、最も権威のあるOxford English Dictionaryを調べた時に、generalistについても調べてみた。ここにある説明は完璧だった。

(a) generalist: One who generalizes (b) One who devotes himself to general studies (opposed to specialist) 」とある。そして、OEDの特長である歴史的出典例が示されている。そこには驚くべき情報があった。

 

いくつかあげられている出典例の中で最も古い文献は1611年のものだが、1894

Westm. Gaz. (Feb, 2) に、G. Allenという人が The man, as a man, is wider, greater, happier, freer, in proportion as he is as a generalist rather than a specialist.と書いているらしい。

196112月2日号のEconomistの文例は、パーフェクトである。The complacent belief that a well trained ‘generalist’ could turn his hand to anything.とある。このあたりから、specialist重視の傾向が強まったのだろうと推察される。同年、Gifted generalists like Aristotleと書かれた文例もある。1964年には、R. Wilkinsonという人が、Gentlemanly PowerThe backbencher was a generalist alsoと書いている。

この人は、In British bureaucracy, the generalist backgrounds of the top men have shown an interesting relation to professional procedureとも述べているのが注目される。1977年のPhysics Bull. 4月号に、Scheme for an initial two year generalist course for the majority of students backed up by specialist courses for the further studies of the few.とある。わが国の大学で広く採用されていた教養学部の思想である。

 

 これらの例から、かつては日本で理解されているジェネラリストという意味で使われていた時代があり、1960年代頃から、次第にスペシャリスト重視の時代へと移行し、ジェネラリストという言葉が姿を消していった歴史を想像することができる。

 私は、ジェネラリストが多能ではなく、そこからさまざまな能力が発揮される源泉となるような根源的能力という意味を与えたいと思っている。この考えについて、もう少し詳しく披露したいと考える。

 

 それにしても言葉というのは時代とともに意味が変わったり、消滅したり、遠く離れたところで生き続けたりする不思議なものであることを改めて痛感した。知っているつもりの言葉もきちんと調べてみなければならない。何かを語る時、直感も必要だが、やはり無知であることは怖い。

author:平田 周, category:外国語, 06:46
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Comment
私も、ちょうどこの言葉の意味を探していたら、このページにたどり着いたので、僭越ながらコメントさせて頂きました。https://careers.bdc.ca/psc/CAREERS1/EMPLOYEE/HRMS/c/HRS_HRAM.HRS_CE.GBL?Page=HRS_CE_HM_PRE&Action=A
は、カナダ国営のビジネス銀行なのですが、そこのアカウントマナジャーの求人募集の欄にこの言葉が使われています。なので、英語圏のカナダでも、実際に使われています。



cc, 2013/05/07 11:16 PM









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